バングラデシュ・レポート / もったいないばあさんのワールドレポート展

2008.3.28(2日目)

ハムチャディ村の子供達

ハムチャディ村の子供達

ダッカを抜けて、17世紀までの首都「ショナルガン」へ。

「農村の人々の暮らしぶりも見たい」って連れて行って貰ったのは、ハムチャディ村

ジャガイモ、小麦粉、トウモロコシ、お米の畑が広がるのどかな風景。

小学校のスポーツ大会が行われていて、ちょっと見に行ったら、あっという間に子供達が「わ〜っ」と集まって来た。

ちょっと離れた所では、村の裁判が行われていて、村長さんが裁判官、村の人達が陪審員となって、離婚問題の夫婦を囲んだ話し合いが行われていた。

青空裁判所

当人にとっては深刻な問題なんだろうけど、なんだかすごくのどかだった。

ここで11歳のリピーちゃんのおうちにお邪魔させて貰った。

将来は先生に成りたいんだって。

でもガイドのセデックさんによると、「まだまだ農村では、娘が15歳になったら結婚させる親が多くて、難しいでしょう」って。(法律では18歳からなのに、ですよ)

壁はトタンを張り付けたもの。

窓は無いけど、穴がいっぱい。

部屋は二つ、ベッドは一つ。

そのベッドに、夫婦と5歳の子供で寝てる。

井戸とトイレ

井戸とトイレ

台所

台所

リピーちゃん家族

リピーちゃん家族

下に川が流れていて、この前の洪水のときは、その川の水位が上がって、ヒザまで水に浸かったため家が使えなくなった。

井戸とトイレが隣あわせ。

シャワーっていうか、水浴びも外。台所も外。雨の時だけ家の中で料理する。

ニワトリもヤギも一緒に住んでいて、そこらじゅう行ったり来たり。

「台所の壁の模様なに?」って聞いたら、牛の糞を丸めて乾かしてた跡なんだって。

雨季は木が水に浸かって使えなくなるから、その間の燃料にする。

池にたくさん咲いている、ホテイアオイの花・・・。

その草をたくさん採ってきて、牛が葉を食べた後は、乾かして燃料にする。

日本の江戸時代に、タイム・スリップした気がした。

リサイクル社会が目指すのって、こういう生活なんじゃないかなあ。

清潔で洗練された暮らしに慣れた私達には、今更このスタイルで暮らすって難しいかも知れないけど、そこは技術とコラボして、いい形が生まれたら良いですね。

バングラデシュの洪水というのは、鉄砲水のように激しいものでは無くて、大雨で水位が少しずつ上がって、長い間水浸しになる状態だそうです。

ずっと水に浸かることで、畑の作物がダメになってしまったり、家に住めなくなったり、トイレの汚物が井戸の水と混ざってしまうことで、 飲み水が無くなったり、感染症が広がる心配もある。

洪水はインドのせいだ!」ってガイドのセデックさんが言うのでギョッとした。

インドとの国境の川に水門があって、水かさが増えた時に、その水門を開けると洪水になるのが分かってて開けるんだって。

「なんで?」って思うでしょ?

それは、インドも洪水になってるから、仕方なく開けるそうです・・・。

バングラデシュは、国土の大部分が海面ギリギリの高さにあるので、以前から大雨が降った時には洪水が起きていたけど、今は、ヒマラヤ山脈エベレストの氷河が溶け、その下の氷河湖が溢れて起こる大洪水が心配されています。

水は、ネパールの方からガンジス川に流れ込み、バングラデシュはその下流にあります。

氷河はこれまで、少しずつ溶けて川を流れ、周辺の土地を潤してたけど、全部溶けて無くなったら、将来は流れてくるお水も無くなってしまいます。

洪水の後に来る水不足と干ばつ、それによる食料不足が心配です。

バングラデシュの貧しい人達は、今でも災害続きで、お米の値段が上がって大変なのに・・・。

ダッカに戻り、JICAが運営するゴミ捨て場に行く。

市内を走っていると、いきなり道にゴミを投げ捨てる人がいて、びっくりすることがある。

生ゴミじゃなくてダンボールとかだけど・・・。

「今は収集日を決めて収集されるので、大夫減ったんですけどね。」とガイドのセデックさん。

でもダンボールなんかは、その辺の人達が拾いに来て、すぐに無くなってしまうみたい。

一面のゴミ。すごい臭い。

ここの人達は慣れているみたいだけど、「オエッ」となりそう。

ハエもすごくて、口を開けていると入ってくる。

ゴミを拾う子供達。

学校には行ってない。誰一人として。

足はゴミの泥だらけ。

靴を履いていない子が居て、足が切れていた。

うちの子の運動靴、小さくなって履けないやつ持って来たら良かったな・・・。

JICAが運営するゴミ捨て場

JICAが運営するゴミ捨て場

ゴミ捨て場の子供達

ゴミ捨て場の子供達

この後、現地でストリート・チルドレンのために活動している日本のNGO「エクマットラ」を訪問。

代表の渡辺さんに、ナゾだった細かい事情など質問責めにして、詳しく教えて頂いた。

現場で働くNGOの方々の活動には、本当に頭が下がります。

ボラ・ボスティ(スラム)へ。

ボラ村から出て来た人達で作られたスラム。

川の流れで侵食されて、家が無くなっちゃったそうです。

モタレブさん38歳。

36年ここに住んでいるだって。

ここで育って、ここで結婚して、子供も育ててる。

洪水でダメになった家を修復中。

ダンボールと竹で、壁を作っている。

洪水の時には、上の橋まで水が来て、引くまで、もっと上のほうに避難しなくてはならなかった。

このスラムは、うなぎの寝床のすきまに道があって、水のホースだらけ、ゴミだらけ水浸し、すごい。

井戸とトイレは共同。

水道が使えるところもある。(モタレブさんは水道代を市に月100タカ払っている。)

「トイレの汚物はどこに行くの?」って聞いたら、「下の川だよ!」って。

やっぱり、洪水になると汚いお水も井戸も混ざっちゃうんですよね・・・。

モタレブさんの息子二人は小学校に通っている。

上の娘は12歳までしか学校に行けなかった。

今は15歳で縫製工場で働いている。

もちろんニワトリもヤギも一緒。

モタレブさんと子供達

モタレブさんと子供達

このスラムの地面はゴミだらけで水浸しだった

このスラムの地面はゴミだらけで
水浸しだった

レンガを砕いて売る仕事をするお母さん

レンガを砕いて売る仕事をする
お母さん

ミルプールの聖者廟へ。

ここでは、毎日お昼の12時に炊き出しがあって、キチュリと呼ばれるお豆や野菜が入った炊き込みご飯が配られる。

そこで寝泊りする人も多く、物乞いの人達が寝ていた。

私の横顔を、じいっと見ながら付いてくる子が居て、話しかけたら、みんな集まって来ちゃった。

人数が半端じゃなくて(200人くらいに取り囲まれた気分)、何ごとかと警官がやって来た。

その子(名前聞くのまた忘れちゃった)は、14歳の男の子で、服が濡れていた。

モスクの沐浴場で身体を洗ったんだけど、服がこれしか無いから、濡れたまま着て自然に乾かしているんだって。

両親はディスナプールという町に住んでて、お母さんはメイド、お父さんはリキシャの運転手をしている。

12歳の時に出て来て、それから会っていない。

学校に行ったこと無くて、食事は1日1食、ここの炊き出しで貰った炊き込みご飯を食べるだけ。

物乞いで貰ったお金で、ポップコーンやキャンディーを買う事もある。

この場所に寝ている子供達は、たくさん居るように見えた。

ほとんどが裸で裸足。

小さい子達が私の手を握って来たので握手したら、みんなとすることになった。

この子達どうなるのかなあ・・・?

でも、小さな子供達には生きていく本能が備わっているみたい。

「あの14歳の男の子は、自分は何のために生まれて来たんだろうとか、考えないのかな?」ってガイドのセデックさんに聞いたら、「そのうち考えるでしょ」って。

だとしたら、いつ、どんな切っ掛けで考えるようになるんだろう。

この生活を繰り返す中で、そんな日が来るのかしら?

炊き出しのご飯を食べる人達

炊き出しのご飯を食べる人達

なんだなんだと集まって来た

なんだなんだと集まって来た

子供達に「NGOのセンターに行こうと思わないの?」って聞いたら答えず、警官が「連れてっても戻ってくるよ」って。

「自由が好きだから、そう言うところは合わないのさ!」って言った。

小さい子達にあげるキャンディーを持っていたんだけど、「人が多すぎて危ないからダメ!」ってガイドのセデックさんに止められた。

美味しく見えるように赤い光のたまねぎ売り場

美味しく見えるように
赤い光のたまねぎ売り場

ランチの後、カロワンバシャールへ。

昨日行ったテズガ・スラムの反対側。

スラムの人達もたくさん働きに来ている。

荷物運び仕事をするために、トラックが入ってくるのを地べたで寝て待つ人達が居た。

子供達は落ちた野菜を拾っている。

1キロになったら市場の端で売るんだって。

ガイドのセデックさんが、自分ちの買い物するのに人夫さんを頼んだら、買った野菜(ジャガイモいっぱいで重そうだった)を全部かごに入れて、頭に乗せて運んでた。

最後に10タカ渡したら、「もっと寄こせ!」って言われたんだって。

安い気がするけど、「そんなもんですよ。」ってガイドのセデックさん。

セダックさんの奥さんは買い物しないそうです。

拾った野菜を見せてくれたジュエルくん

拾った野菜を見せてくれた
ジュエルくん(右)

ジュエルくん9歳。

両親はスラムに住んでる。

ジュエルくんは家に帰る日もあれば、帰らない日もある。

ご飯を食べるのは1日2回。

子供達はパンを買ったり、屋台でご飯とおかずのセット(カレー)を、10タカ(5円くらい)ほどで買ったりして食べているらしい。

ジュエルくんに、「屋台のサツマ揚げみたいなやつ食べる?」って聞いたらうなずいたので、ガイドのセデックさんが、5タカで買ってあげた。

ずいぶんハードな1日だった。

スラムの人達の話を聞くと、体力が消耗する。

自分が望んでここまで来たわけだし、出来るだけたくさんの人の話を聞きたいと思ってるけど、帰り道は口も聞けなかった。

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