菖蒲／128

もったいないばあさん日記

　紫色の上品な花が咲いている。「これってアヤメ？」「ショウブじゃない」と話している人たちがいたよ。「菖蒲」という字は、ショウブだけでなく、アヤメと読まれることがあって、紛らわしい。
それに、アヤメ、ハナショウブとカキツバタの３つの花はとてもよく似ていて、見分けがつきにくいことで知られている。

　「この花は、真ん中が黄色くなっているから、ハナショウブ。アヤメは花がもう少し小さくて、中が網目になっているよ。もうひとつよく間違えられるカキツバタは、花びらが細めで白い線があるんじゃよ」と話しかけてみた。「ちなみに、端午の節句にお風呂に入れるショウブと、花がきれいなこのハナショウブは、全く別のものなんじゃ」というと、「へえー、これはあのショウブの花だと思ってました。よくご存じですね」とほめられた。

　「いずれアヤメかカキツバタ」と歌に詠まれたり、絵に描かれたり、親しまれてきた日本古来の植物。先人たちがこれらの花を見て何を思い、なぜ紛らわしいことになったのか、そして同じように見えるもののどこが違うのか、それぞれのことがわかると、見るのがもっと楽しくなるよ。

せっかくだから、名前の由来も調べてみよう。違いを見ないのは、もったいないからね。